魚の流通のスタート地点である、漁港の市場。セリがどのように行われているのかご存じでしょうか。セリの様子をレポートします。

暗闇の中で新鮮な魚が運び込まれる

まだ、日が昇らぬほど早朝から、牛深の漁協には漁船が乗り入れます。この漁業の町で、魚のセリが行われているのは天草漁協牛深支所の市場。暗闇の中で、漁船から水揚げしたばかりの新鮮な魚が運び込まれていきます。

漁船が入ってくるたびに、漁師と職員が駆け回り、次々に船から降ろされていきます。運び込まれた魚は種類や大きさごとに選別され、ずらりと並べられていきます。生きたまま持ち込まれた活魚はいけすに移され元気よく泳ぎ回っていました。

活魚として販売される魚以外は、新鮮な状態で漁師や職員の手で締められます。セリが始まるまでに、すべての魚を選別しなければならず、何よりスピードが命。市場全体緊張感に包まれます。

セリが終わる前からトラックは走り出す

午前7時、赤い帽子をかぶった職員が、大きく声を上げるとセリの始まりです。仲買人たちが鮮魚を囲み、手持ちのボードに次々と金額を書いていきます。一番高い額を提示した業者が、鮮魚を購入できる仕組みです。

腕の良い仲買人は、並べられた魚の中から、一瞬のうちに上質な魚を目利きし、勝負をかけます。上物を前にすると、ボードが上がる数が増えます。

並んでいた多数の鮮魚は、次々に競り落とされ、運び出されていきます。まだセリが終わる前から、次々とトラックが出発し、小売店へと運ばれていきました。新鮮な魚だからこそスピードが肝心です。

新鮮な魚の流通を支えるセリ

いけすで泳いでいた活魚たちは、水槽のついた活魚車で各地に輸送されます。トラックの荷台に備え付けられた大きな水槽に、次々に生きた魚が移されていきます。

漁師が獲ってきた魚を、一瞬でも早く流通させ、消費者のもとに届けるため、漁師や漁港職員、仲買人たちが必死になりセリに臨みます。こうした作業を経て、新鮮な魚が全国に流通するのです。

多くの人々の力により、私たちの食生活が支えられている。そう感じる取材でした。